商業出版の企画書で、編集者がもっとも気になるのは差別化です。
この企画は類書とどう違うのか?
弊社で使用している企画書には、差別化ポイントという項目があります。
ポイント、すなわち点です。
長々と文章で書くのではなく、分かりやすく一点を示すことが大事です。
差別化を考える際、注意して頂きたいのは、読者の役に立つか?です。
差別化は、単なる違いではなく、読者の役に立つ違いでなければあなりません。
前回の著者スクールで鍼灸師をされている武笠公治さんという方がいました。
武笠さんの企画は肩こり解消の本です。
肩こりで悩んでいる人を読者に、すぐ痛みが消える方法を論じる企画でした。
しかし肩こり本はたくさんあります。
たとえば、
1日10分歩き方を変えるだけでしつこい肩こりが消える本
揉まない 押さない 引っ張らない 肩こりは10秒で治る
1分でスッキリ! 自力整体
少し調べると山ほど出てきます。
たくさんある類書とどう差別化するか?
が、武笠さんの企画の課題でした。
差別化ポイントの方向性の一つとしてよく使われるのが『簡便さ」です。
簡便さ、つまりカンタンに、すぐ、いつでも、誰でも、手軽にできるなど、
労せずそれを実践できる根拠を示す。それが差別化になることが多いです。
武笠さんの場合、『スーパーボール」という小さなゴムボールを使うことで、
自宅で一人ですぐ肩こりを解消できるという企画を発表されました。
その結果、なんと20社を超える出版社から札が上がったのです。
ある編集者はこう言います。
極論、出版の企画書は差別化だけをしっかり考えてくれればいい。
もちろん出版社や編集者によって考え方は様々あるでしょう。
しかし、企画書の中でも差別化の重要度が高いことは確かです。
どう違うか?だけで終わらせることなく、その違いは読者の役に立つのか?と自身の企画に質問してみて下さい。
単なる違いではなく、読者にとって有益な違いを考え抜きましょう。