出版企画の肝は、類書との差別化です。
つまり、似たような本がたくさんある中で、どう違うか?を示すのです。
ただ注意して欲しいのは、差別化は単なる類者との違いではないという点です。
読者にとって意味のある違い、これこそが類書との差別化になります。
類書の欠点をあげつらうのではなく、それをどうカバーできるのか?
その点をきちんと示さねばなりません。
口で言うのは簡単ですが、多くの方がこの差別化で迷路にハマります。
なので、一つ分かりやすい考え方をお伝えしておこうと思います。
まず、頭の中だけで考えるのは止めて、お客様のつぶやきで考えましょう。
あなたの本を、読者が書店で手に取るとき、どんな独り言を言うか?です。
具体的には、
「あの本(類書)じゃなくてこの本にしよう!だって○○だもん」
この、○○を埋めるのです。
だって「精神論ではなくすぐ実践できる具体的な内容が書かれている」し、
だって「私と同じような経験を乗り越えた体験者の人が書いた本」だし、
だって「多く人の悩みをずっと解決してきた専門家が書いた本」だし、
多くの場合、著者が自分視点で考えた差別化はほとんど役に立ちません。
良い出版企画だ!という期待が影響して、どうも恣意的になりがちです。
読者を主語にしたつぶやきを考えることで、強制的に「読者にとって意味のある違い」をあぶり出すことができます。
単なる違いだけで自分をごまかしても、編集者の目はごまかせません。
類書との差別化は、出版企画の質を支えるとても重要な部分になります。
十分な時間を掛けて、読者の立場になりきってよく考えてみてください。