以前、何かのテレビ番組で見聞きした情報をふと思い出しました。
戦争のとき、敵地に爆弾を落とす兵士の人たちは、それによって亡くなる人のこと、個人のことを決して想像しないよう、
徹底的に訓練を受けるそうです。
爆弾投下する先は敵兵の集合であって、決して個人の頭の上ではない、と。
亡くなる個人を想像してしまうと、投下ボタンを押せなくなるから、です。
恐ろしい話ですね…。
言いたかったのは、出版企画書は爆弾投下と真逆である、ということです。
「独立したい40代サラリーマン」という集合を狙って書くのではなく、
18年勤めた会社の方針が突然変わり、思うよう仕事ができなくなった。
結果、仕事にやりがいを見出せず、独立しようか悩んでいる41歳、中野区在住の広告代理店勤務の田中一郎さんを狙うのです。
もちろん架空の人物です。ただ、集合ではなく個人をターゲッティングして、企画を考えると言葉に現実味が増します。
それだと多くの人に刺さらない!
そう思うかもしれません。残念ながら、その考え自体が間違いです。
一人にさえ刺さらない企画は誰にも刺さりません。その逆で一人に、確実に刺さる企画は、その他の人にも刺さります。
小林製薬の「熱さまシート」は当初、体のどこに貼ろうと構わないという、貼る場所を限定しない商品でした。
まったく売れなかったそうです。
しかし「風邪を引いたとき熱を冷ますためおでこに貼る専用」として売り始めてから、急に売り上げが伸びました。
読者が本を買うとき、私のために書かれた本だ!と感じて本を手に取ります。
企画を刺す相手を特定しましょう。
読者の役に立たない空虚な持論ばかり記した企画の多くが、個人ではなく集合をターゲットにして書かれています。
たくさんの人に手に取って欲しいという集合的ターゲッティングではなく、個人的ターゲッティングをすれば、
結果的に多くの人に刺さるメッセージが自然と浮かんでくるはずです。集合ではなく個人をしっかり見て下さい。