売れそうな出版企画書、つまり編集者が欲しがる企画書には共通点があります。
1.ターゲット
2.ベネフィット
3.独自リソース
4.市場・類書
5.強み・差別化
これらのポイントにおいて「明確なロジックがある」企画を目指してください。
第四回目、前回の「3.独自リソース」に引き続き、
第五回目の今回は「4.市場・類書」について、細かく解説していきましょう。
市場・類書とは、本が置かれる棚・競合となる本を指しています。「どの棚でどの本と争うのか?」と自分に質問して下さい。
意外かもしれませんが、重要なのは「すでに類書があるかどうか?」です。
多くの著者候補は、「類書がない斬新なテーマ」で企画を書こうとします。
お気持ちは分かりますし、その内容にきちんと価値があることも疑いません。
しかし、たとえ価値ある情報だとしても、読んでもらえなければ意味がないのです。
例えばこんな企画があったとしましょう。
「ガテンで年収一千万円を稼ぐ法」
この企画には致命的な間違いがあります。
そもそもターゲットである肉体労働者は、その多くが本屋に行きません。
つまり売れないのが予測できる、のです。
価値ある情報であることと、それが売れることはまったく別なのです。
「内容が良ければ口コミで広がります!」
そう反論する方もたまに見かけます。
しかし、そんな不確かな予測は、ビジネスである商業出版では通用しません。
商業出版はあくまで出版社の仕事であり、何よりも「売れる」ことが前提なのです。
競合のいない新規ビジネスを立ち上げるのはリスクが大きい、という理屈と同じで、
類書の存在しないテーマで斬新な本を出すのは出版社にとってリスクなのです。
だからこそすでに類書が存在する、つまり売れると分かっているジャンルやテーマで企画書を書くことがセオリーです。
前回までにお伝えした、
・ターゲット
・ベネフィット
・独自リソース
これらがうまく噛み合うテーマが見つかったら、すぐ企画を練りたくなるかもしれません。しかしまずは類書を調べて下さい。
「何をもって類書と呼ぶのか?」それを判断する基準は、単純に「ターゲットとベネフィットが似ていること」です。
もしあなたが小さな会社のweb担当者をターゲットにした、すぐ結果が出るネット集客法を論じる本の企画を考えているなら、
こんな本が類書になるでしょう。
小さな会社 ネット集客の鉄則 90日で結果を出し、5年先も使える!
同じように、TOEICスコアを上げたい人をターゲットにした、すぐ結果が出るTOEICの勉強法を論じる本の企画ならば、
こんな本が類書になるかもしれません。
(ちなみに二冊とも弊社の出版スクールを卒業された方々の著書です。)
似たターゲットを設定し、似たベネフィットを提供している本を探しましょう。
・類書があるかどうかを確認する
・類書が売れていることを確認する
その結果、残念ながら売れそうにないテーマであることが判明するかもしれません、
そのとき一番やってはいけないのが、
「意固地になって読者や編集者を置き去りにしたまま企画作成を進めること」です。これだけは避けなければなりません。
市場がないことを淡々と受け入れて、また別の切り口を探してみて下さい。