売れそうな出版企画書、つまり編集者が欲しがる企画書には共通点があります。
1.ターゲット
2.ベネフィット
3.独自リソース
4.市場・類書
5.強み・差別化
これらのポイントにおいて「明確なロジックがある」企画を目指してください。
第五回目、前回の「4.市場・類書」に引き続き、
第六回目の今回は「5.強み・差別化」について、細かく解説していきましょう。
強み・差別化とは、類書に対する優位性を指しています。「類書と違うどんな価値があるのか?」と自分に質問して下さい。
まず理解して欲しいのが、強み・差別化という言葉の、そもそもの定義です。
多くの著者候補の方は強み・差別化と聞くと、イコール「違い」と解釈します。
しかし、自分の企画と類書の間にある単なる違いでは強み・差別化にはなりません。
本当の強み・差別化の定義とは、「ターゲットにとって価値ある違い」なのです。
極端な例で説明すると、マジックの得意な弁護士とか、ダンスも踊れる二代目社長とか、「悩んでいるターゲットにとって意味のない違い」ではいけません。
単なる違いではなくターゲットにとって価値ある違い、つまり「ターゲットが喜ぶ違い」を明らかにしましょう。
2011年、私が出した本で説明します。
この本の強み・差別化ポイントは、帯にあるキャッチコピーで表現されています。
「自信を持てと言われてもどうしていいか分からない人へ」
つまり「これまで一度も自信を感じたことのない、本当に自信のない人」をターゲットにした、今日からすぐ始められる具体的な自信のつけ方が書かれた本です。
この本の企画を考える上で、類書として参考にしたのがコチラの本です。
研修会社を経営する青木仁志さんが書かれた、自信のつけ方に関する本です。
ご自身の成功談だけでなく、自信を失った状態から這い上がった経験談など、読んでいると熱くなるとても素晴らしい本です。
しかしAmazonレビューをよく見てみると、こんな不満の声がありました。
「傷つき自信をうしなっている者に対するものではなかった」
「ここまでの覚悟が出来ている人には、向いていると思う」
つまり「本当に自信がなくて困っている人」にはあまり響いていないのです。
おそらく「もともと平均的な自信があり、仕事で自信を失っている人」が、本来のターゲットだったのでしょう。
さらにはこんな不満の声もありました。
「もう少し具体的なところを書いてくれるとさらによいと思う」
「結局それが出来るのかといわれたらなかなか出来ないものだと思う」
確かに、熱い分精神論が多く、具体的な行動が見えづらい内容ではあります。
こうやって「類書に対する不満の声」を反映して企画を考えたのです。
つまり、「類書が取りこぼしたターゲット」が求める内容を書いたわけです。
「ターゲットにとって価値ある違い」を知りたいのら、ターゲットの声を実際に聞くのが一番早いし、何より正確です。
その方法の一つとして、類書のレビューから不満の声を探してみて下さい。
ちなみに私は、本当に自信がない人の気持ちが痛いほど分かります。なぜなら私自身もずっとそうだったからです。
自信を持ちなさい!と言われても、それができないから困っているんだし、自信を感じたことがないから方法が分からない。
「自信のある振る舞い」を続けていれば、本物の自信はあとから必ずついてくる。
私が本で語ったノウハウは、私がそれまで実際に経験して学んだことなのです。
「本当に自信のない人が、精神論ではない具体的な自信のつけ方が分かる」
これは「ターゲットにとって嬉しい違い」であることは間違いありません。
強み・差別化を考えるときも、やはりターゲットとひも付けて考えて下さい。
「コッチの本にしよう!」と最終的な判断をするのは、あくまでターゲットです。
ターゲットの気持ちを想像しながら、企画の強み・差別化を考えましょう。